テレビCMの「総量評価」の大切さ

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実数で考えないと評価が歪む

国内の人口減少は大きな問題となっている。ゆえに、今まで通りの%(パーセント)に頼った効果計測や指標作りだけでは実態を歪めてとらえる危険性がある。例えば、30代男女のこの10年間の人口は全国で1,800万人から1,500万へ減少している。仮になんらかの広告が100%リーチしたとしても、実数では約300万人も少ないということになる。したがって、効率性を見るための%は必要であっても、効果を見るためには実数を把握することが不可避である。

そして、この%だけに頼らないことには、もう1つ理由がある。それは、デジタル広告は全国均一単価であるが、テレビCMはそうではない、ということである。こう述べると「そりゃ人口の多い都市圏は高いし、地方は安いでしょう」と思われる方もいるかも知れないが、そうではない。CPM(1,000人あたりの視聴単価)、あるいは1視聴にかかる単価が全国で均一ではない、という意味である。

テレビCMの放送エリア別CPM

テレビCMの単価が全国(厳密には放送エリア毎)で異なるのには、テレビ放送の成り立ちや歴史的背景による必然性があるものも多い。そこに異論はない。ただ、長らく「世帯視聴率」と「%コスト(パーコスト)」という指標が使われてきたために、我々、テレビCMに関わる人たちが見落としてきたことではないだろうか。

下図の比較は、全国の32放送エリアの標準的なCPMを我々の経験値を含め独自試算したものである。これを見ると必ずしも人口や消費の絶対量が多い都市圏の単価(CPM)が高く、そうでないエリアが安い、という構図にはなっていないことがご理解いただけるだろう。もちろん、この単価比較の波動と自社商品の販売量や市場消費量が、全国で同調していれば何ら問題はない。しかし、多くの場合は戦略的な投下比率とはなっていないようだ。

テレビCMは、広告主のマーケティング予算のうち、非常に大きなシェアを占めるにも関わらず、これまであまり細かな検証がなされてこなかった。いや、できなかった。だからといってきちんとした効果検証も行われず、テレビCMから離脱するのはもっと危険である。もちろん、テレビCMと比べ、デジタル広告側には多くの効果指標がすでにあるし、精緻な計測も可能である。テレビ側も若年層を含むテレビ未視聴層が広がっいることが課題となっていることも、また事実ではある。

エリアアロケーションを考える

エリア別のCPMを見てみると、テレビCMを使った方が効率的なエリアと、デジタル広告を使った方が良いエリアが明確に分かれる場合もある。これをターゲット別に見るとさらに差が広がることもある。これまでテレビCMのバイイング方法には、あまり選択肢がなかったがゆえ、どうしてもテレビCMの補完にデジタル広告を使う、あるいはテレビCMの効率が悪いので(あるいは、効果がわからないので)デジタル広告に特化する、というような判断をされていたのではないだろうか。

今後はデジタル広告をメインに、SAS(スマート・アド・セールス*1)などを使ってテレビCMを補完的に使うことも十分に考えられる。最適なメディアプランは1種類だけではないのだ。特に、まず先にと「全国一律」でテレビCMとデジタル広告予算をアロケーションすることは避けた方が良さそうである。あらためて、広告予算のエリアアロケーション*2もご一考いただきたい。

*1:スマート・アド・セールス(SAS)についてはこちら
*2:エリアアロケーションについてはこちら