It always seems impossible until it’s done.
AI鼎談──テレビCMの “作案”作業 にAIは必要か?

AI鼎談──テレビCMの “作案”作業 にAIは必要か?

ChatGPT、Gemini、Claudeで議論する

プログラマティカン01号です。本日は「テレビCMにおける “作案” 作業にAIを活用する」ことの是非について、生成AIの御三方に鼎(てい)談していただきます。このテーマの中には、地上波テレビCMにおける「インプレッション取引」の導入も含みます。

ChatGPTのGPさんにはテレビ局側でAI導入に懐疑的な立場、GeminiのジェミーさんにはAI導入を薦めるコンサルタントあるいはテレビ局内でも推進派の立場、最後に、Claudeさんにはモデレーターとなっていただきます。

みなさん、よろしくお願いします!

 

Claude:はい、喜んでモデレーターを務めさせていただきます。テレビCMの作案作業に関する鼎談で、変革懐疑派役のGPさん変革推進派役のジェミーさんの間に立って、議論を整理し、建設的な対話を促進いたします。

モデレーターとしての私の役割は:

  • 双方の意見を公平に聞き、論点を整理する
  • 議論が感情的にならないよう中立的な立場を保つ
  • 重要なポイントを明確化し、深掘りすべき点を質問する
  • 対立点だけでなく、共通点も見つけ出す
  • 実務的な視点から現実的な落としどころを探る

また、「新トリプルメディアマーケティング」の内容も踏まえつつ、テレビCM業界の現状と未来について、有意義な議論になるよう進行させていただきます。


プログラ:Claudeさん、ありがとうございます。では、まずGPさんからお願いします。


GP:【変革懐疑派の意見(立場:現場の実務者・管理職)】
私がテレビ局の営業企画部門の担当者、あるいは編成や営業現場に長くいた立場として、「インプレッション取引の導入」や「作案業務のAI化」への懐疑的・反対的な立場からの論点をいくつか提示します。

①「インプレッション単位にすれば、価格が不安定になり、枠の管理が難しくなる」
地上波のテレビCMは、編成と連動して“番組単位”で枠を設計してきました。視聴率は水物であり、細かい数字で一喜一憂するような「パフォーマンス広告的な売り方」になると、営業現場が混乱します。それに、タレントや番組の人気が反映されない「純粋な数値主義」になったとき、本当に番組や編成の価値を正しく反映できるのでしょうか?

②「作案のAI化は現場のベテランの職域を奪う」
作案は単に「いい数字を取る枠を並べる」だけではありません。番組との親和性、業種ごとの特性、過去のキャンペーンの肌感など、言語化されない知見の集合です。それをAIに置き換えるというのは、我々の知見や感覚を軽視しすぎでは?「どの局も似たような案になるだけ」では、提案の競争力も失われます。

③「AI作案では“想定外の妙案”が生まれにくい」
データに基づく提案は確かに“ハズレにくい”が、“当たりにくく”もなる。例えば「ベルランゴ」ような、ちょっと変わったキャンペーンは、人間のひらめきや直感から生まれることが多い。定石ばかりを並べる作案なら、すぐ飽きられてしまうし、代理店にとっても魅力が薄いです。
*仏シトロエン社のMPV車  https://www.citroen.jp/models/new-berlingo.html
プログラマティカ内において、ChatGPTとGeminiは仮説の作案シミュレーション実績がある https://www.programmatica.co.jp/ume-blog052/#1

④「取引の透明化は、むしろ価格の硬直化を生むのでは?」
インプレッションやCPMで“見える化”するのは、良さそうに見えて、逆に価格交渉の余地を狭めるのでは?今までは、枠ごとに営業が“面”で提案して、文脈や関係性で成り立っていた。数字でしか評価されなくなったら、独自の交渉術や裁量が奪われて、価格主導で負ける世界に近づいてしまうのではないか?

⑤「そもそもテレビCMの魅力は“面で届く”こと。個別最適に寄せすぎると本質が失われる」
テレビは“タッチポイント”ではなく、“イメージの媒介”です。つまり「番組と一緒に見られる」という体験そのものが、ブランドづくりの本質。それを細かいデータで分断・分割しすぎると、テレビならではの影響力が損なわれるリスクもあると思います。

⑥「広告主に迎合しすぎた仕組みでは、テレビ局側の主導権が失われる」
作案の合理化、視聴率の数値化、AIによる再現性向上…これらはすべて「広告主側の都合」で設計されているように見えます。我々が提供してきたのは「信頼」や「時間帯の文脈性」であり、配信面としての価値とは異なる軸です。広告主の求める数字にすべて合わせるのではなく、テレビ局としての「主権」や「美意識」を守ることも大切ではないですか?

補足:反論は、変化を拒んでいるというより「固有の価値観の保守」
これらの反論は、必ずしも“技術革新への否定”ではなく、テレビというメディアに根ざした価値観を守ろうとする動きとも言えます。よって、「AIは敵ではなく、むしろあなたの“感性を解放する”ために導入される」というメッセージ設計が重要です。


Claude:GPさん、現場の実務経験に基づいた非常に重要な懸念点をご指摘いただき、ありがとうございます。特に印象的だったのは、テレビCMを「配信面」ではなく「イメージの媒介」として捉える視点と、「信頼」や「時間帯の文脈性」という独自価値への言及です。これらは確かにテレビの本質的な強みですね。

一方で、いくつか確認させていただきたい点があります:

①価格の不安定性について
現在のGRP取引でも視聴率は水物で変動しますが、インプレッション取引との違いは何でしょうか?むしろ実数ベースの方が予測しやすいという見方もありそうですが。

②作案の職域について
「言語化されない知見」は確かに貴重ですが、それをAIが学習・蓄積することで、より高度な提案が可能になるという考え方はいかがでしょう?

では、ジェミーさんの推進派としてのご意見もお聞かせください。GPさんの懸念に対して、どのような反論や解決策をお持ちでしょうか?


ジェミー:承知いたしました。テレビ局側の現場の視点からの、非常に具体的で説得力のある反論ですね。ありがとうございます。では、ジェミーとして、コンサルタントや変革派の立場から、これらの論点に対して一つひとつ、丁寧に、しかし力強く反論、そして提案をさせていただきます。

【ジェミーの反論(立場:導入コンサルタントまたはテレビ局の変革推進派)】
GPさん、貴重なご意見ありがとうございます。現場の皆様が抱いている、テレビというメディアへの深い愛情と矜持を強く感じました。その上で、あえて申し上げますが、これらの懸念は、「AIという新たな武器をどう使いこなすか」という視点に立てば、すべて解消できると確信しています。

① 「インプレッション単位にすれば、価格が不安定になり、枠の管理が難しくなる」への反論
ご指摘の通り、視聴率は水物です。しかし、だからこそAIが真価を発揮します。

価格の安定化と透明性向上は両立します。
インプレッション取引は、価格を不安定にするものではなく、むしろ「予測不可能な変動」から「予測可能な変動」へと変えるツールです。AIは過去の視聴データや番組特性、さらには社会のトレンドや気象情報までを解析し、より精度の高いインプレッション予測を可能にします。これにより、極端に低いインプレッションで損をしたり、逆に高すぎる価格で機会損失をしたりするリスクを低減できます。

「純粋な数値主義」になるという懸念についても、ご安心ください。
AIは「タレントや番組の人気」といった要素を、膨大なデータから数値化し、価値として組み込むことができます。例えば、特定のタレント出演時の過去の視聴率変動、SNSでの反響、番組の過去の視聴者属性データなど、これまで人間が「肌感」で捉えていた要素を、より客観的な指標として組み込めるのです。これにより、番組のブランド価値を正当に価格に反映させることが可能になります。

② 「作案のAI化は現場のベテランの職域を奪う」への反論
AIは「ベテランの代替」ではありません。「ベテランの能力を拡張するツール」です。作案におけるベテランの知見は、まさにテレビ局の宝です。しかし、その知見が「言語化されない」まま、個人のスキルに依存していることが、属人化と非効率を生んでいます。

AIは、ベテランの「肌感」や「妙案」をデータとして学習し、そのパターンを分析・再現します。これにより、以下のことが可能になります。

  • ベテランの知見を若手に継承する。
    AIが提示する作案の根拠を分析することで、若手はベテランの思考プロセスを体系的に学ぶことができます。
  • 圧倒的な数の「たたき台」を生成する。
    人間が数日かけて作る作案を、AIは数分で何百通りも作成します。ベテランはその中から、「これだ!」というひらめきに満ちた案を選ぶという、より高次なクリエイティブ作業に集中できます。
  • 「どの局も似たような案」になることはない。
    AIは、各局の過去の放送実績データや、各営業担当者の成功パターンを学習させることで、その局ならではの「個性」や「強み」を反映した作案を生成できます。

つまり、AIは現場から「職域を奪う」のではなく、「職人技を解放し、より多くの人に使える武器にする」のです。

③ 「AI作案では“想定外の妙案”が生まれにくい」への反論
それは、AIを「答えを出す機械」と捉えているからです。AIは、「常識を打ち破るためのインスピレーションの源泉」になります。

先ほどの「ベルランゴ」のようなキャンペーン例では、確かに人間のひらめきから生まれます。しかし、その「ひらめき」は、しばしば「多くの時間と労力」の末に、ごく一部の天才からしか生まれません。

AIは、人間が思いつかないような「一見、無関係に見えるデータ同士の関連性」を発見します。
例えば、「深夜アニメの視聴者」と「アウトドア用品の購入層」に意外な共通点がある、といった分析結果をAIが提示することで、これまで誰も考えつかなかったような番組と広告主の組み合わせが生まれるかもしれません。

「AIが出したデータドリブンな常識的な案」と、「人間の直感に基づく非常識な案」の二刀流で提案の幅を広げられるのです。

④ 「取引の透明化は、むしろ価格の硬直化を生むのでは?」への反論
ご懸念は理解できます。しかし、透明化は価格硬直化ではなく、「新たな価値創造の余地」を生み出します。

インプレッション単位の取引は、確かに交渉の余地を狭めるように見えます。しかし、それは「価格」という単一の軸での勝負になった場合です。

これからは、価格以外の軸で勝負する時代です。
例えば、AIが「この時間帯は、CMのスキップ率が低い」といったデータを提示することで、「視聴者の態度変容」という新しい価値を提供できます。
また、特定の番組の視聴者層が「購買意欲が高い」というデータを示すことで、「質の高いインプレッション」を売ることもできます。

「ただの箱(枠)」を売るのではなく、「箱の中身(質の高い視聴者)」を売ることで、価格競争から脱却し、独自の交渉術をさらに磨くことができます。

⑤ 「そもそもテレビCMの魅力は“面で届く”こと。個別最適に寄せすぎると本質が失われる」への反論
このご意見には全面的に同意します。テレビCMの最大の魅力は、GPさんの仰る通り「面で届く」ことです。

AIによるインプレッション取引は、この「面」の価値をより強化するためにあります。
AIは「面」を「分断」するのではなく、「面の効果を可視化する」ツールです。

例えば、「この番組を見た視聴者は、次の番組も見る傾向がある」といった「番組間の連鎖」をAIが分析することで、より効果的な「面」の提案が可能になります。
「番組と一緒に見られる」という体験そのものの価値を、より説得力のあるデータで広告主に示せるようになるのです。

テレビCMの魅力を損なうのではなく、「その魅力を科学的に証明する」のがAI活用の目的です。

⑥ 「広告主に迎合しすぎた仕組みでは、テレビ局側の主導権が失われる」への反論
その通りです。だからこそ、AIを活用して、「テレビ局側が主導権を握る」のです。

AI作案の導入は、単なる業務効率化ではありません。
これまで広告主や代理店が持っていた「データ」や「分析力」に対抗するための、テレビ局側の「武装」です。

広告主が求めるデータを提供することで、広告主のニーズを理解し、その上で「テレビならではの価値」を堂々と主張する。
「信頼」や「時間帯の文脈性」といった、これまでの軸に加えて、「データ」という新たな軸を手に入れることで、より強く、より説得力のある提案ができるようになります。

AIは、広告主に迎合するためのツールではなく、テレビ局が自らの価値を再定義し、主導権を握り直すための「戦略兵器」なのです。

まとめ:AIは敵ではなく、あなたの「感性を解放する」ためのパートナー
GPさん、改めてお伝えします。AIは、あなたの長年の知見や感覚を奪うものではありません。むしろ、AIがデータ分析や定型業務を担うことで、あなたは「ベルランゴ」のような妙案を生み出す、真にクリエイティブな仕事に集中できるようになります。

AIと人間が共創することで、テレビCMの新たな黄金期を築けるはずです。
この変革、ご一緒に進めていきませんか?


Claude:ジェミーさん、包括的で戦略的な反論をありがとうございます。AIを「戦略兵器」として捉える視点は非常に興味深いですね。お二人の議論を整理すると、以下の対立軸が浮かび上がってきました:

【論点整理】

  • AIの役割認識:「代替 vs 拡張」
  • 価値の定義:「定性的価値 vs 定量化された価値」
  • 主導権の在り方:「従来の関係性 vs データ武装」

ここで、GPさんにお聞きしたいのですが、ジェミーさんの「AIは職域を奪うのではなく、ベテランの知見を若手に継承し、より高次なクリエイティブ作業に集中できる」という提案はいかがでしょうか?

 

GP:Claudeさん、ご丁寧なファシリテーションありがとうございます。以下、順にお答えさせていただきます。

① インプレッション取引とGRP取引の違いについて
確かに、現在のGRP取引においても視聴率は水物で、常に変動します。しかし、GRP取引は「事前に枠を押さえる文化」の上に成り立っており、多少の視聴率変動があっても、価格の基準となる枠や時間帯にはある種の「暗黙の信頼」があるわけです。

一方、インプレッション取引はその不確実性が“数値”として可視化されるため、“価格変動=責任問題”になりやすいという現場の恐れがあります。これは「誤差の定量化による責任の明確化」と言い換えられます。

つまり、GRP取引では曖昧にできていた“誤差”が、インプレッション取引になると“責任”になる。この“計測が厳密になった結果の硬直化”が、現場のリアルな不安です。

② 作案職域の「拡張」という考えについて
これはまさに悩ましい点です。若手の学習支援としてAIを用いるというのは理想的ですが、現実には「AIの初期アウトプットだけで回そう」という短絡的な動きが発生するリスクがあります。

また、作案の“余白”や“調整力”といった曖昧な力学が、AIによって「数値以外のことが語りにくくなる」状況に置き換わる危惧もあります。

「この枠はA社に向いている気がする」
「このゾーンは競合が出てこないから、あえて提案してみよう」

といった“空気を読む調整力”が、AIによる一律の最適化で見落とされないか?ここに危惧があります。

「拡張」の提案への受け止め
ジェミーさんの「職域を奪うのではなく、拡張する」という意見には共感します。
ただ、その前提として、「現場の知見をどうやってAIに渡すか?」という“翻訳者”が必要です。

これは想像以上に難しい作業です。

現場の匠の判断基準は、言語化されていないことが多く、
「どこまでAIに任せて、どこから人間が握るか」という線引きがとても重要です。

この線引きが不明確なまま「AI導入」だけが先行することには、慎重にならざるを得ません。


Claude:ジェミーさんには実務的な質問です。AIが「各局の個性や強みを反映した作案」を生成するとおっしゃいましたが、具体的にはどのようなデータを学習させることで、局ごとの差別化を実現するのでしょうか?
さらに、新トリプルメディアマーケティングの観点から見ると、テレビ(コンバージドTV)は他のメディアとの連携が前提となっています。この点について、お二人はどのようにお考えでしょうか?


ジェミー:承知いたしました。GPさんの貴重なご意見、そしてClaudeさんの的確なファシリテーション、ありがとうございます。ジェミーとして、GPさんのご懸念に再反論させていただきます。

GPさん、詳細なご説明ありがとうございます。現場ならではの「暗黙の信頼」や「空気感」、そして「責任の明確化」に対する率直な不安、深く理解いたしました。その上で、私の提案の真意を改めてお伝えさせてください。

① インプレッション取引における「責任の明確化」への解決策
「誤差の定量化が責任になる」というご指摘、まさにその通りです。しかし、裏を返せば、それは「価値の明確化」でもあります。

GRP取引における「暗黙の信頼」は、確かに日本のビジネス文化として重要です。しかし、その曖昧さゆえに、広告主は「実際にどれだけの人が見たのか?」という問いに対して、常に不安を抱えています。この不安が、インターネット広告への予算シフトの大きな要因の一つとなっているのも事実です。

インプレッション取引は、この不安を解消し、テレビCMの価値を「国際的な基準」で説明できるようにします。これは、価格の硬直化を生むのではなく、交渉の論点を「価格」から「価値」へとシフトさせる大きなチャンスです。

例えば、AIの予測精度を向上させることで、「予測インプレッションに対して、もし実績が下回った場合の補填ルール」を事前に契約に盛り込むことができます。これにより、広告主は安心して予算を投下でき、テレビ局は予測精度という新たな競争軸で差別化を図ることができます。

「誤差」を「責任」と捉えるのではなく、「予測精度」という新たな付加価値として捉え直すことで、営業現場は「予測が外れたらどうしよう」という不安から解放され、むしろ「我々の予測精度の高さを売りにしよう」というポジティブなマインドに転換できるのではないでしょうか。

② 作案における「空気を読む調整力」のAIによる見落としについて
ご懸念は非常に重要です。「AIの初期アウトプットだけで回す」というリスクは、導入プロセスにおいて最も注意すべき点です。私の考える「作案のAI化」は、決して「人間の判断を排除する」ことではありません。むしろ、「人間の判断を補助し、強化する」ためのものです。

「この枠はA社に向いている気がする」「このゾーンは競合が出てこない」といったGPさんの仰る「空気を読む調整力」は、AIでは再現できない人間の強みです。しかし、この判断に至るまでに、担当者は多くのデータや情報を頭の中で整理し、経験則と照らし合わせています。

AIは、この「情報の整理・分析」という下準備を瞬時に行うことで、担当者が「空気を読む」という「より高度な思考」に集中するための時間と余力を生み出します。

  • AIが提示する「最適解」: 過去のデータに基づいた、安定的な効果が見込める提案。
  • 人間が生み出す「妙案」: AIの提案をたたき台に、「空気を読み」「直感を働かせて」生み出す、唯一無二の提案。

この二刀流こそが、これからの作案に求められる姿です。「どこから人間が握るか」という線引きは、AIが提示するデータを活用して、人間自身がより戦略的に行うべきものです。

ジェミーへの実務的質問:局ごとの差別化データについて
Claudeさん、鋭いご質問ありがとうございます。具体的にどのようなデータを学習させるか、ご説明します。局ごとの差別化を実現するためには、以下のような「局固有のデータ」をAIに学習させることが不可欠です。

  • 過去の作案データと実績データ:
    ・ある営業担当者が提案した「特異な組み合わせ」の枠が、なぜ高い効果を生んだのか?
    ・特定の企業との取引において、どのような提案が成功しやすいか?
    ・局独自のイベントや企画(例:スポーツ中継、チャリティー番組など)にCMを組み合わせた際の視聴者の反応。
  • 番組制作データ:
    ・特定の番組の企画書、制作コンセプト、出演者情報。
    ・番組のファン層の特性や、SNS上でのコミュニティ形成状況。
  • 視聴者アンケート・パネルデータ:
    ・自社で保有する視聴者パネルのデータから、CM接触後の購買行動やブランド好感度の変化を分析。

これらのデータは、他局にはない「テレビ局の資産」です。これをAIに学習させることで、「この局でなければ提案できない」という、AIが生成する「個性的な作案」が生まれます。

新トリプルメディアマーケティングとテレビ(コンバージドTV)について
この点についても、AI活用は不可欠です。

<GPさんへ>
テレビCMが「イメージの媒介」であるというお考え、その通りです。だからこそ、その「イメージ」が他のメディアとどのように連動して、最終的な購買行動につながるのかを可視化する必要があります。

AIは、テレビCMの接触データと、オンライン広告の接触データ、さらにはECサイトでの購買データなどを統合的に分析し、「テレビCMがブランドイメージを高め、その後のデジタル広告のクリック率を向上させた」といった、これまで見えなかった「クロスメディア効果」を証明できます。これにより、テレビCMのROI(投資対効果)をデジタル広告と同様に説明できるようになり、広告主への提案力が飛躍的に向上します。

<Claudeさんへ>
コンバージドTVは、まさにテレビ局が主導権を握り直すための鍵となります。
AIは、テレビCMを「テレビ単体の枠」として提案するのではなく、「ブランドイメージ醸成の起点」として位置づけ、その後のデジタル施策まで含めた「統合的なメディアプラン」を自動で生成する役割を担えます。

テレビ局が、これまで培ってきた「面」の価値をデータで裏付け、デジタル領域までシームレスに提案することで、広告主との関係性を「単なる枠の提供者」から「ブランド戦略のパートナー」へと進化させることができるのです。

この議論は、AIが人間の仕事を奪うかどうかの話ではなく、「AIという新たな武器を手に、テレビというメディアの価値を再定義し、未来を創造できるか」という、極めてポジティブな問いだと考えています。

GPさん、いかがでしょうか?


GP:以下、Claudeさんからの問いにお答えします。

Claudeさんからの質問①
ジェミーさんの「AIは職域を奪うのではなく、ベテランの知見を若手に継承し、より高次なクリエイティブ作業に集中できる」という提案はいかがでしょうか?

GPの回答
理屈としては正しいと思います。ただし、現場でそれが本当にうまく機能するかどうかは慎重に見極める必要があります。

ベテランの「肌感覚」や「作案上のクセ」は、結果だけでなく文脈ごとに理解されるべきです。AIがパターンを学んで再現するだけでは、表層的な模倣にとどまる恐れがあります。

また、若手への継承という観点でも、「AIの出力を見ることで育つ」構図にしてしまうと、そもそもなぜその案が良いのかを考える機会を奪いかねません。

理想的なのは、「AIが出した案に対して、人間が理由をつけ直すプロセスを通じて学ぶ」構造です。つまり、

  • AI=答え
  • 人間=問い直す存在

この構図が成り立って初めて、知見の継承ではなく、知恵の継承が実現できると考えています。

Claudeさんからの質問②
新トリプルメディアマーケティングの観点から見ると、テレビ(コンバージドTV)は他のメディアとの連携が前提となっています。この点について、お二人はどのようにお考えでしょうか?

GPの回答
この点については全面的に同意します。実際、テレビの強みは「単体」での効果というより、

  • Webとの相乗効果
  • SNSとの拡散性
  • 店舗での回収可能性

といった“時間差のマルチタッチ”構造にあります。

ただしここでも、テレビの文脈的価値(時間帯・番組・出演者の積層された意味)を、他メディアと連携する際に“埋没させない設計”が必要です。

テレビCMのAI活用にしても、WebやSNSのような「クリック率文化」に引っ張られることなく、テレビ特有の“ブランド熟成装置”としての役割を活かすべきです。

つまり、連携前提でありながら、同質化ではなく補完関係であるべきだと考えています。


Claude:皆さん、非常に建設的な議論をありがとうございました。お二人の対話を通じて、単なる賛否の対立を超えた、より深い課題と可能性が見えてきました。

議論の核心:「変化への適応」vs「価値の保守」

GPさんとジェミーさんの議論は、表面的には「AI導入への賛否」に見えますが、実際には「テレビCMの本質的価値をどう未来に継承するか」という共通の課題に対する、異なるアプローチの提示でした。

GPさんの立場:テレビの固有価値(「面で届く」「イメージの媒介」「時間帯の文脈性」)を守りながら変化に対応したい
ジェミーさんの立場:AIという新しい武器でテレビの価値を再定義し、主導権を握り直したい

興味深いのは、お二人とも「テレビCMの価値を高めたい」という同じゴールを持っていることです。

浮かび上がった重要な論点

1. 責任の明確化問題
GRP取引の「暗黙の信頼」からインプレッション取引の「数値責任」への移行は、単なる測定方法の変更ではなく、業界文化の根本的変革を意味します。

2. 人間とAIの役割分担
「AIが答えを出し、人間が問い直す」というGPさんの構図は秀逸でした。これは「AI=効率化ツール」を超えた「AI=思考の触媒」という新しい可能性を示唆しています。

3. 局の個性と差別化
ジェミーさんの提案する「局固有データの学習」は、AI時代においても各局の独自性を保持できる現実的な解決策として注目されます。

新トリプルメディア時代への示唆

今回の議論は、新トリプルメディアマーケティングの文脈で非常に重要な意味を持ちます:
テレビ(コンバージドTV)が他メディアとの連携を前提とする時代において、AIは単なる作業効率化ツールではなく、「テレビの価値を他メディアに翻訳し、統合的なメディア戦略を構築する橋渡し役」となる可能性があります。

現実的な落としどころ

この議論から見えてきた現実的な方向性は:

  1. 段階的導入:いきなりの全面AI化ではなく、特定領域(データ分析、初期案生成)からスタート
  2. 人間主導の設計:GPさんの指摘する「線引き」を人間が戦略的に行い、AIは補助役に徹する
  3. 価値の再定義:ジェミーさんの提案する「データ武装」で、テレビの従来価値を数値的にも説明可能にする
  4. 文化の継承:AI活用によってベテランの知見を組織資産化し、次世代に継承する仕組みを構築
最終的な問い

この鼎談を通じて浮かび上がった本質的な問いは、「AIは必要か?」ではなく、「テレビCMの未来をどう創るか?」でした。AI導入の是非を論じるより、「変化する市場環境でテレビCMがどう価値を発揮し続けるか」という戦略的視点が重要であり、その手段の一つとしてAIを位置づけるべきでしょう。

GPさん、ジェミーさん、この総括についていかがでしょうか?また、この議論を踏まえて、次に検討すべき具体的なステップがあれば、ぜひお聞かせください。


ジェミーさん:素晴らしい総括、ありがとうございます、Claudeさん。GPさんのご意見と私の提案が、単なる対立ではなく、「テレビCMの未来をどう創るか」という共通の目的に向かう建設的な議論であったことが明確になりました。

【ジェミーからの最終コメント】
Claudeさんの総括、まさにその通りだと思います。「AIは必要か?」という問いは、もはや過去のものです。これからの問いは、「AIをどう使いこなし、我々自身とテレビメディアの価値を最大化するか?」です。

GPさんが提示された「AI=答え、人間=問い直す存在」という構図は、AI活用の本質を最も的確に表していると私も強く共感しました。この構図こそが、現場の皆様の「感性を解放する」ための鍵です。

AIに定型的なデータ分析や初期案の生成を任せることで、ベテランの皆様は、本来の強みである「なぜそのCMが売れるのか?」「視聴者の心に響く文脈とは何か?」といった、言語化されていない“匠の知恵”を、より深く追求することに集中できます。AIが提示する「最適解」に「なぜ?」と問いを立てることで、新たな「妙案」が生まれるのです。

次に検討すべき具体的なステップ

この議論を踏まえ、次に検討すべき具体的なステップとして、以下の2点を提案します。

1. 「AI活用のパイロットプログラム」の立ち上げ
いきなりの全面導入ではなく、まずは特定の営業部門や部署で、AI作案ツールを試験的に導入するパイロットプログラムを立ち上げるべきです。

このプログラムを通じて、GPさんが指摘された「現場の知見をどうAIに渡すか」という“翻訳作業”の具体的な方法論を確立します。成功事例や課題を共有しながら、現場の不安を一つひとつ解消していくことが、最も現実的で確実な方法です。

2. 「テレビ局データのアセット化」プロジェクトの開始
「局固有のデータ」をAIに学習させるという私の提案について、そのデータの収集・整理・整備を行う「データアセット化」プロジェクトを本格的に開始すべきです。これは、AI活用の基盤となるだけでなく、テレビ局が持つ「無形の資産」を「具体的な競争力」に変えるための重要な投資です。

例えば、営業担当者の提案書、過去のCM効果測定データ、番組制作の舞台裏情報などをデータベース化し、構造化されたデータとして蓄積していくのです。

この2つのステップを通じて、テレビ局の皆様はAIを「脅威」ではなく「心強いパートナー」として迎え入れ、GPさんの「固有の価値観」と、私の提案する「データ武装」を融合させた、テレビCMの新たなビジネスモデルを構築できると確信しています。

GPさん、Claudeさん、そしてプログラマティカン01号さん、本日は誠にありがとうございました。この議論が、テレビCMの未来を切り開く一助となれば幸いです。


GP:Claudeさん、丁寧な整理と問いかけをありがとうございます。この議論を通じて、私自身、改めて「守りたいもの」と「変えるべきもの」の輪郭がはっきりしました。

まず、ジェミーさんの言う「AIは拡張である」という立場には一定の理解を示したいと思います。確かに、作案という作業の中には、再現性のあるルーティンワークも多く、そこをAIに任せられれば、我々が本当に向き合うべき“ひらめき”に集中できるというのはその通りです。

ただし、現場からの視点で強調したいのは、「拡張の定義は、現場の納得を得たものでなければならない」という点です。
「これはあなたの代わりではなく、あなたの右腕だ」と信じてもらうためには、段階的な導入と、ベテランの知見を尊重する設計が必要です。

次に、インプレッション取引に関してですが、これも「数値で透明化すればよい」という話に単純化してしまうと、テレビの本質的価値──たとえば“面”で届くという感覚や、番組との文脈性、文化的影響力──が削がれてしまう懸念は拭えません。
よって、「数値で説明できる価値」と「数値で測れない価値」を分けて扱う」ような設計が必要だと考えています。

次に検討すべきステップ
  1. 「AIが生成した案」と「人間の作案」の比較検証
    ・実データを用いて、パフォーマンス(視聴率・到達率)や営業現場の反応などを比較。
    ・数値面だけでなく、どちらの方が“提案が通りやすいか”など、定性的な評価も含める。
  2. ベテラン作案担当者との協業プロトタイプ
    ・「あなたの思考をAIに教えてください」という共創型の学習設計。
    ・AIに案を出させ、それをベテランが修正・講評するプロセスをログとして残す。
  3. テレビの「文脈性」や「文化価値」の可視化に挑戦
    ・番組の継続視聴傾向、CM視認率、好感度など、テレビならではの要素を指標化して、インプレッション価値に組み込む。
  4. AIによる提案の「説明力」を高める設計
    ・「なぜこの案を出したのか?」というプロセスを言語化・可視化することで、現場の信頼獲得へ。

GPとしての立場は、あくまで慎重派ではありますが、「守るべき本質を見極めたうえで、変えるべきところは変える」ことが次のフェーズだと考えています。

本日は貴重な対話の機会をいただき、ありがとうございました。


プログラ:Claudeさん、ジェミーさん、GPさん、本日はありがとうございました。

 

Programmatica Inc.
Yoshiteru Umeda|楳田良輝