広告主が スマート・アド・セールス (SAS)を活用したい理由

スマート・アド・セールスとは

スマート・アド・セールス (SAS)は、 2020年2月に旧ASS(アドバンス・スポット・セールス)から名称変更し、日本テレビ以外にも、テレビ東京、フジテレビ、TBSの3局*が新たに参加して再スタートをしました。従来の番組提供やスポットCMに続く、テレビCMの新たなバイイング手法「 第三のテレビCM 」として注目を浴びています。   SAS は、様々なテレビ視聴データを基に「15秒CMを1本単位」で購入できる新たなテレビCM商品で、従来の番組提供(タイム)やGRP購入(スポット)とも異なる画期的なバイイング手法です。放映日時、番組、本数、金額を、自社のキャンペーンタイミングなどにピッタリと合わせ「欲しいモノを」、「欲しい時に」、「欲しい分だけ」自由に購入することが可能です。海外では「チェリーピッキング」などとも呼ばれるこの新しい枠単価セールスは、テレビCMおよびテレビCMバイイングの世界に今、大きな変化をもたらそうとしています。  

 スマート・アド・セールス

  >> 

テレビCMの「総量評価」の大切さ

メインターゲットとサブターゲット

テレビCMは、世帯視聴率で長らく評価をされてきました。しかし、近年は個人視聴率が整備され、徐々にそれが主要指標へと変わってきています。ですが、まだその使われ方は「個人全体」を基準とする取引単位までにとどまっています。広告主の設定ターゲットが個人全体、つまりオールターゲットであれば問題はないのですが、多くの場合そうではありません。通常は何かしらのターゲットを設定します。そういった面ではターゲット効率を試算する各種データが整ってきており、CPM(1,000人あたりの視聴単価)や1視聴あたりの単価などは算出可能で、デジタル広告との効率比較などは可能となってきています。

しかし、テレビCMは設定するメインターゲット以外の周辺ターゲットにも到達します。逆にいうと、それらを除外することはできません。「メインターゲット以外はターゲットではない」という場合には当てはまりませんが、通常はメインターゲットのみという設定は少ないのではないでしょうか。常にサブターゲットも存在します。問題は、その際のサブターゲットへの到達を評価しないのか?あるいは、サブターゲットをそのままメインターゲットに合算して評価してしまっていいのか?です。

おそらく両方共に間違いです。そこで「総量評価」が必要となります。総量評価とは、メインターゲットを1とした場合にサブターゲットを1未満の係数で評価する考え方です。係数0はターゲット外となります。例えば、男性向け商品の場合は、女性群の係数は0です。(しかし、実際には男性向けでも女性にも何らかの係数を与えておくことがお勧め)もちろん、デモグラ別にもっと細かな設定を行うことも可能です。図1に参考例を掲載します。

この時、総量評価の指標は%(パーセント)でなく、必ず実数をベースにしなくてはなりません(例えば人数など)。しかし、評価値の桁数はなるべく簡素にしておいた方が、経験上ではその後の比較の際にわかやすくなります。単位はありません。この総量評価をCM枠の評価やキャンペーンの効率性評価に加えることで、テレビCMのメディアプランや評価指標の精度は大きく向上するはずです。

図1 総量評価の参考例

テレビCMとデジタル広告のそもそもの違い

デジタル広告側でのターゲティングは少々異なります。デジタル広告ではほとんどの場合、何かしらのターゲティングを設定し広告配信を行いますが、それらは全てが設定したターゲットだけに配信されるわけではありません。ターゲティング精度には各社差がありますが、推量型DMPで約40%前後、精度が高いといわれるIDベースでも15〜20%程度はターゲット以外に配信されることになります。喫緊のプライバシー保護の問題を考慮すると、今後この精度が格段に向上していくとは考えにくいでしょう。

いずれにせよ、ターゲット以外にも広告が到達する点ではテレビCMもデジタル広告も同じですが、ターゲットボリュームで見た際や、周辺ターゲットとして評価を行えるか否かを加味すると、図2のように両者には大きな違いが生じます。ちなみに、テレビCMでは「ターゲット含有」や「ターゲット含有率」という指標を使用することがあります。実は、これはデジタル広告でのターゲティング精度の評価と同じ考え方になります。

図2 テレビCMとデジタル広告のターゲット試算における違い

テレビCMの「本当の力」を再評価するために、我々、プログラマティカでは含有率や効率論でない「実数で評価する指標」を提唱しています。テレビCMの未来に向けて、あらためてその価値指標の考え方を検討していきたいと考えています。現在、テレビCMは過小評価されています。

実数で考えないと評価が歪む

国内の人口減少は大きな問題となっています。ゆえに、今まで通りの%(パーセント)に頼った効果計測や指標作りだけでは実態を歪めてとらえる危険性があります。例えば、30代男女のこの10年間の人口は全国で1,800万人から1,500万へ減少しています。仮になんらかの広告が100%リーチしたとしても、実数では約300万人も少ないということになります。したがって、効率性を見るための%は必要であっても、効果を見るためには実数を把握することが不可避です。

そして、この%だけに頼らないことには、もう1つ理由があります。それは、デジタル広告は全国均一単価であるが、テレビCMはそうではない、ということです。こう述べると「そりゃ人口の多い都市圏は高いし、地方は安いでしょう」と思われる方もいるかも知れませんが、そうではありません。CPM(1,000人あたりの視聴単価)、あるいは1視聴にかかる単価が全国で均一ではない、という意味です。

テレビCMの放送エリア別CPM

テレビCMの単価が全国(厳密には放送エリア毎)で異なるのには、テレビ放送の成り立ちや歴史的背景による必然性があるものも多いです。そこに異論はありません。ただ、長らく「世帯視聴率」と「%コスト(パーコスト)」という指標が使われてきたために、我々、テレビCMに関わる人たちが見落としてきたことではないでしょうか。

図3の比較は、全国の32放送エリアの標準的なCPMを我々の経験値を含め独自試算したものです。これを見ると必ずしも人口や消費の絶対量が多い都市圏の単価(CPM)が高く、そうでないエリアが安い、という構図にはなっていないことがご理解いただけると思います。もちろん、この単価比較の波動と自社商品の販売量や市場消費量が、全国で同調していれば何ら問題はありません。しかし、多くの場合は戦略的な投下比率とはなっていないようです。

図3 テレビCMの放送エリア別(32エリア)の出稿単価CPM比較

テレビCMは、広告主のマーケティング予算のうち、非常に大きなシェアを占めるにも関わらず、これまであまり細かな検証が行われてきませんでした。いや、できなかったと言えるでしょう。だからといってきちんとした効果検証も行われず、テレビCMから離脱するのはもっと危険です。もちろん、テレビCMと比べ、デジタル広告側には多くの効果指標がすでにありますし、精緻な計測も可能です。テレビ側も若年層を含むテレビ未視聴層が広がっいることが課題となっていることも、また事実ではあります。

エリアアロケーションを考えてみる

エリア別のCPMを見てみると、テレビCMを使った方が効率的なエリアと、デジタル広告を使った方が良いエリアが明確に分かれる場合があります。これをターゲット別に見るとさらに差が広がることもあります。これまでテレビCMのバイイング方法には、あまり選択肢がなかったがゆえ、どうしてもテレビCMの補完にデジタル広告を使う、あるいはテレビCMの効率が悪いので(効果がわからないので)デジタル広告に特化する、というような判断をされていたのではないでしょうか。

今後はデジタル広告をメインに、SAS(スマート・アド・セールス*1)などを使ってテレビCMを補完的に使うことも十分に考えられます。最適なメディアプランは1種類だけではないのです。特に、まず先にと「全国一律」でテレビCMとデジタル広告予算をアロケーションすることは避けた方が良さそうです。あらためて、広告予算のエリアアロケーション*2もご一考いただくことをお勧めします。

*1:スマート・アド・セールス(SAS)についてはこちら
*2:エリアアロケーションについてはこちら

 

Programmatica Inc.
楳田 良輝|Yoshiteru Umeda

 

CM量ってどれくらいあるのか?

テレビCMの量には上限がある

ふだんテレビで見るCMには、いろいろな長さのモノがあります。よく見かける15秒や30秒CM以外にも、60秒や90秒、時には120秒という長尺CMに出会うことさえあります。面白いCMや、自分が興味のある商品やサービスのCMだといいのですが、そうでない場合はチャンネルを変えたくなります。購読料として我々も一部の費用を負担している新聞や雑誌などと違い、テレビはCM(企業からの広告費)がないと放送自体が成り立たないとわかってはいても、そこは人の性(さが)、やはりCMを避けたい気持ちになることも少なくありません。

特に最近は、NetflixやHuluなどのサブスク型(サブスクリプション)や、都度課金型でコンテンツ(映画やライブなど)を購入して、テレビ画面を通して観ることにも慣れて来ているので、より煩わしさを感じるのかも知れません。TVerやYoutubeはほぼ広告付きですが、まだまだテレビほどCM量が多くない気もしています。スキップできる場合もありますから。 >> 

テレビのプログラマティック取引予測

プログラマティック取引に向かうテレビCM

2020年2月に始まった「スマート・アド・セールス」(以下、SAS)。この視聴データを基にする新しいテレビCMバイイングの価値が広告主にも受け入れられるようになると、SASの需要は必ず高まるでしょう。しかし、需要の高まりは価格の高騰とも同義です。テレビCMは、民放連基準で「総放送時間の18%以内」という上限があるため、その影響を特に受けやすいと考えられます。

現状のSASの販売枠は、2カ月前からオープンとなり1カ月前で締め切られます。そのため、利用者側の経験値がまだまだ少ない現状においては、2カ月先の枠が具体的に見えてから、各社のプランニング作業が開始されます。しかし、データ分析が進めば、評価や実績により広告主が欲しい枠を事前に検討・抽出しておくことは十分可能です。広告主やメディアプランニング・パートナーは、それらを常にアップデートして、 SASのセールス解禁日には条件に合致するCM枠を真っ先に購入すれば良いからです。 >>