It always seems impossible until it’s done.
3年後のテレビ、米著名業界関係者の予測(後編)

3年後のテレビ、米著名業界関係者の予測(後編)

テレビの未来のヒントを読む

Source:cnbc.com (2023.2.7)

前編では、CNBCが2023年2月7日に公開した特集記事「3年後のテレビはどうなる?米国の著名業界関係者らが予測する」から、最初の2つをご紹介しました。

この特集記事では、米メディア業界のキーマン10数名に「3年後のテレビ業界がどのようになるか」の予測についてインタビューしています。どの企業がストリーミングを支配するのか、スポーツやギャンブルなどのコンテンツがどのような役割を果たすのかなど、多くの見解が述べられています。大変興味深い内容ばかりです。後編では、残りの4つをご紹介します。

  • 3年後にレガシーTVは事実上消滅するのか?(前編)
  • 3年後も確実に存在する主要なストリーミングサービスは?(前編)
  • ケーブルのように、主要なストリーミングのバンドル(束ねる)サービスが登場するのか?
  • ストリーミングの中心的な存在として、どこが優位に立つのか?
  • ケーブル・エンタテインメント・ネットワークはどうなるのか?売却されるのか?閉鎖されるのか?それとも、これまでと変わらないか?
  • 今は存在しない、テレビの標準となるものは何か?

 

なお、ご紹介にあたっては、引用元原文をプログラマティカで翻訳し、独自の解釈および注釈などを加えておりますので、ご了承ください。

 

3年後のテレビ、米著名業界関係者の予測(前編)

 

ケーブルのように、主要なストリーミングのバンドル(束ねる)サービスが登場するのか?

Candle Media’s Mayer:そうなると思います。エンタテインメント企業同士のバンドルが見られるかどうかは分かりませんが、何らかの形で、より大きなバンドルとして、自分の好きなコンテンツを購入できるようになるのではないでしょうか。

Aryeh Bourkoff, LionTree* chairman and CEO:コンテンツやその他のサービスをセルフバンドルして、消費者からのプラットフォームやブランドへのロイヤリティを獲得することがより重要です。複数のプラットフォームへ優れたプレミアムコンテンツを独占的に提供することも効率的なマネタイズになるとは思いますが、最も成功するプラットフォームとの関係はセルフバンドルになるでしょう。

*テクノロジー、メディア、通信など中心とする投資銀行

Ex-Time Warner boss Bewkes:なぜ、バンドルサービスが必要なのかわかりません。アグリゲーターの役割は、有力なストリーミングサービスのどれかを取り込んで、下位の小規模なチャンネルとまとめることです。それに魅力があるとは思えません。

Will there be a cable-like bundle of several major streaming services?

IAC’s Diller:ストリーミングサービスをより効率的に購入する方法はおそらく出てくると思いますが、ケーブルバンドルに類するものにはならないと思います。すべてのストリーミングサービスを1箇所でひとつの請求書にして送る、そんなことは起きないと思います。しかし、複数のストリーミングサービスと個別契約するよりも、簡単にいくつかのグループとまとめて契約するような多元的な状況は発生するかもしれません。

Naveen Chopra, Paramount Global CFO:可能性は非常に高いと思いますが、必ずしも必然的ではないと思います。一方では、バンドルは、増加する獲得コスト(の効率化)や解約率の低下、消費者の利便性という点で大きな価値があります。それは、私たちがすでに取り組んでいるものです。ヨーロッパのSky*1、アメリカのWalmart*2やT-Mobile*3など、多くのバンドルとパートナーシップを結び、大きな成功を収めています。

複数のストリーミングサービスを組み込んだ、より幅広いバンドルは、同じようなメリットをもたらすかもしれません。しかし、そのようなバンドルを実現するためには、2つの大きな課題を解決しなければなりません。ひとつは経済性、もうひとつはユーザーインターフェース(UI)とユーザーとの関係です。現在、ストリーミングサービスは独立したUIを持ち、ユーザーと直接的に関係を持つことを好みます。

バンドルに参加するためには、ある程度の収益を放棄しなければなりません。また、コンテンツに関わるオーディエンスの構築と維持のために、情報を共有する方法とUIを十分にコントロールする必要があります。さまざまな課題を抱えながらもテストは進められています。しかし、ストリーミングとケーブルのバンドルが実現する可能性は間違いなくあると思います。ただ、進化にはまだ時間がかかります。

*1 Sky Group Limitedは、ロンドン本社のヨーロッパのメディア、通信コングマリット。米Comcastの子会社でもある。2022年6月から「Sky Cinema」ユーザーは追加料金なしで「Paramount+」が利用可能となった。

*2 2022年8月にウォールマートとパラマウントが提携し、「Walmart+」ユーザーは低料金で「Paramount+」が利用可能となった。Walmart+は、Amazon Primeに対抗する形で立ち上がったサブスク・サービスで、定額での無料配送サービスなどがある。

*3 T-MobileとSprintの一部ユーザーにParamount+の広告付きプランを期間限定で無償提供している。

Ex-Warner Bros. boss Sarnoff:それがどのように機能するのか、その経済的なメリットを理解するのは難しいです。アグリゲーターがあれば、人々はさまざまなサービスに加入する必要がないのでしょうか?問題は、常に誰が中間に入るかということです。ほとんどのメディア企業は、ケーブル事業者のように、誰かが視聴者をコントロールし、コンテンツの価値を決定することから脱却したいと考えています。バンドルは、消費者の観点からは理にかなっていますが、サプライヤーとしては簡単なことではないです。ひとつの料金として支払うのは簡単だが、そこにはコンテンツ・サプライヤーにとって複雑な価値方程式が存在します。

North Road’s Chernin:本格的なスタンドアローンのバンドルは難しいです。誰が利益を得るのか、明らかなアグリゲーターがいないのです。これらをバンドルするための費用を補助することは、誰の利益になるのでしょうか?経済性を考えるとかなり難しい。大手は安売りをしたがらないでしょう。非常に複雑な交渉が必要だろう。

Mark Lazarus, NBCUniversal Television and Streaming chairman:バンドルは間違いなく未来にあると思う。すでにその方向に進んでいるようにも見えます。しかし、ケーブルテレビと同じようなユーザー体験を提供することはできません。バッファリングが発生します。2つのチャンネルを瞬時に切り替えることができません。消費者の期待に応えようとするならば、UIやユーザー・エクスペリエンス(UX)によって、コンテンツへの出入りをシームレスに行えるようにする必要があります。

Starz’s Hirsch:18ヶ月から24ヶ月後には、リニアビジネスからデジタルビジネスへの再パッケージ化が始まるでしょう。アグリゲーションという価値観は実に重要です。より多くの企業が提携するようになるでしょう。今は、誰もが単なるチャンネルとしか見なされていません。最終的には大手がプラットフォームとなり、今日のAmazonのような存在になるでしょう。現在、ShowtimeがParamount+の中のひとつのカテゴリーとして登場しています。他の企業のコンテンツも、大規模なストリーミングプラットフォームの中で、ブランド化されたひとつのカテゴリーとなるでしょう。

*2023年後半にShowtimeをParamount+と統合し、「Paramount+ With Showtime」ブランドに統合することを発表している(ロイター通信 2023.1.31)

 

ストリーミングの中心的な存在として、どこが優位に立つのか?

The Ringer’s Simmons: Appleは、Apple TVやiPhoneを通じて、ユーザーの行動と結びついているため、優位なプラットフォームになると考えています。Appleのメインページでは、映画を購入したり、新作を見たり、他のすべてのプラットフォームで見ていた番組や映画の続きを見たりすることができるのです。気になるものをすべて網羅するワンストップショップのような役割を果たす唯一のストリーマーです。そして、Appleは、その完成度をますます高めていくことでしょう。さらに、iPhoneからさまざまなプラットフォームにログインすることもできます。実にスマートです。すべての道はAppleに通じるといえます。

North Road’s Chernin:YouTube、Amazon、そしてAppleです。

Which companies will dominate as the main hub of streaming?

Candle Media’s Mayer:3つのカテゴリーに分けられるでしょう。まずケーブルテレビ局は、ストリーミングサービスを再パッケージ化することができます。彼らはすでにリニア放送でそれを行っています。あとは、通信事業者のT-Mobile、AT&T、Verizon、そして、大手デジタルプレーヤーであるGoogle、Apple、Amazonがいます。

Starz’s Hirsch:Amazonがプラットフォーム化し、Warnerもプラットフォーム化を始めていますね。今後3年間で、通信事業者がストリーミングサービスのアグリゲーターになるための圧縮技術も登場することでしょう。T-Mobile、AT&T、Verizonがそうです。彼らは真のチャレンジャーになるでしょう。

Charter’s Winfrey:Roku、Apple TV、Amazon Fireなど、ストリーミングコンテンツを集約しようとするプラットフォームはいくつもあります。しかし、私はケーブルが本当に有利だと思います。ComcastとCharterがジョイントベンチャーの「Xumo」でまとめているのがそれです。

Comcastの音声リモコン、SkyとXfinityの技術資産、Spectrum TVの主要なライブビデオアプリを利用できます。そして、ComcastとCharterは、他のどこよりも幅広い番組供給体制を構築しています。また、ブロードバンドとテレビの料金を支払っている既存のユーザーにも、店舗やプラットフォームなどのさまざまなチャネルから新たに販売し、これらのSTBやスマートTVを手に届けるための強力な流通チャネルも持っています。他のどこのプラットフォームにもできないことを実現するために、私たちは最高の資産と、すでにある関係性があります。

*セット・トップ・ボックス(ケーブルテレビを見るために必要な専用端末)

LionTree’s Bourkoff:ビデオ、オーディオ、ゲームのコンテンツをすべて取り込んだアグリゲーターはまだ存在しませんし、近いうちにそうなるとも思っていません。アグリゲーションは、消費者が広い意味でのエンタテインメントに出会うための役割を担います。でなければ、アグリゲーションツールはユーザー毎に別な意味を持つことになります。

例えば、若い人たちは、TikTokやYouTubeなどの短編コンテンツにますます移行していますが、それは含むのでしょうか?消費したいコンテンツやプラットフォームなどは、成長し希少性の高い環境下では常に変化しているのです。

Allen Media Group’s Allen:こうしたコンテンツの主要なアグリゲーターが存在するかどうかは分かりませんが、消費者は非常に賢く、機知に富んでおり、いかに効率的な価格でニーズを満たす方法を考え出すと思います。ここで重要なのは、世界最大のストリーマーであるYouTubeと、それが完全に無料であることに気づくことです。あなたが検索バーに入力しても、結果が出ないというのはとても悲しく、残念なことです。

 

ケーブル・エンタテインメント・ネットワークはどうなるのか?売却されるのか?閉鎖されるのか?それとも、これまでと変わらないか?

What happens to cable entertainment networks? Will they be sold? Shut down? Or will it look the same?

Paramount’s Chopra:時間の経過とともに、ケーブルネットワークがさらに統合される可能性はあると思います。近い将来、ケーブルネットワークの視聴者数が減少していることから、ケーブルネットワークで見られる番組の種類や構成が進化していくことになると思います。

高価なオリジナルコンテンツを制作する経済性は、すべてのケーブルネットワークで通用するわけではありません。より低コストのコンテンツやライブラリー・コンテンツに頼るなど、異なるフォーマットを検討しなければならないが、間違いなく進化が起きるだろう。

Ex-Time Warner boss Bewkes:ニュースやスポーツを扱うネットワークなら、長期的な存続が見込まれる。しかし、一般的なエンタテインメント・ネットワークの加入者数とキャッシュフローは減少するだろう。3、4年後にキャッシュフローを得るためにプライベート・エクイティに売却されるところもあるかもしれない。倒産するわけではないが、(公開)株式市場で注目が集まるような話ではない。

Warner Bros. Discovery’s Finch:この業界は変化が激しいようなので、何ともいえません。ただ、最も価値のあることのひとつは「特徴を持つこと」です。それはブランドのようなもので、本当に重要です。古いコンテンツに依存する一般的なケーブルテレビ局は、必ずしも一貫した何かを提供している訳ではありません。

かつてのように、人々はネットサーフィンをしてくれません。コンテンツを見る仕組みは、もはやそうなっていないのです。自分に合っているかどうかを感覚的に捉えています。一般的なエンタテインメント・ネットワークは、その時に魅力的な特徴をあまり持っていない。もっと専門性の高いコンテンツが必要です。それがなければ、生き残れないし、私たちのような広告収入も見込めません。HGTV*1のようなネットワークには、決まった広告主がいます。Home Depot*2やLowe’s*3などは、HGTVでなければダメなのです。

*1 Home and Garden Television。WBDが所有する有料テレビチャンネル。ホームセンターや不動産のリアリティ番組を放送
*2 米国最大のホームセンター。住宅リフォーム・建設資材、サービスなどをチェーン展開
*3 住宅リフォーム(第2位)・生活家電チェーン

Charter’s Winfrey:問題は、提供しているコンテンツの価値が何であるかということに尽きます。再放送でも他では見られないのであれば、それはユーザーにとって価値があることです。しかし、現況はコンテンツ・サプライヤーは高い値段でケーブルにコンテンツを売り、それらをすべてのユーザーに配信するように求めますが、同時にまったく同じコンテンツをストリーミング・プラットフォームにも売るか、はるかに安いコストの直販サービスも自ら作っているのです。

そのようなサービスの多くは、ケーブルテレビよりもセキュリティの敷居が低いため、パスワードを共有され同じコンテンツに無料でアクセスすることができるようになる。そのため、わざわざそのコンテンツ・サプライヤーにお金を払う意欲は低下していきます。つまり、リニアビデオという枠組みの中では、ユーザーがすでに海賊版で無料でアクセスできるか、低料金でアクセスできるため、特定のコンテンツを扱う意味がないと判断する配信事業者が増えていくことになるでしょう。

NBCUniversal’s Lazarus:将来的には、一律的な戦略では不十分です。例えば、私たちが行ったように、いくつかのネットワークが統合されると思います。また、収益に貢献しないネットワークは閉鎖されるでしょう。現在、ネットワークは非常にたくさんあります。有料放送のバンドルが5,000万世帯まで減少しても、これらのネットワークは私たちのような企業にとって収益とEBITDAに多大な貢献をしているのです。

ですから、これらのネットワークを閉鎖することは、利益を放棄することになり、必ずしも良い答えではありません。たとえ利益が減少していても、それはまだまだ利益です。その点の議論が少しされにくくなっているような気がします。しかし、これらのビジネスは、多くの場合、数億円もの利益を生み出しているのです。企業はそれを手放さないのです。

*税引前利益に、特別損益、支払利息、および減価償却費を加算した値

 

今は存在しない、テレビの標準となるものは何か?

North Road’s Chernin:ウィンドウィング*1です。それが最も可能性の高い変化です。現在の経済モデルは、すべてを制作し所有する純粋な垂直統合と、長期の独占ライセンスという2つのものです。どちらも意味がありません。良いコンテンツは十分に作れないし、コストがかかりすぎる。5~10年前の番組の価値とは何でしょうか?今、そのような番組制作には膨大なお金が使われています。

メディア企業は、3年間のライセンスで20%〜30%のコスト削減をした方が良いだろう。ケーブルネットワークは、他のストリーミングプラットフォームから古い再放送を購入することに興味を持つでしょう。別の視聴者に向けて、まったく新しい番組を提供することになるのです。番組を定義するのは、何が新しいかということです。A&E*2で「ソプラノズ*3」がシンジケーションで放映されても、HBOが弱体化することはないでしょう。ストリーマーがケーブルや互いに番組を販売し始め、その番組を所有する会社とシンジケーションで購入した会社の両方に価値を生み出すことになるのでしょう。

*1 Windowing:映画業界でよく知られる用語でワンソース(1本の映画)をマルチソース(複数の形態)で販売すること
*2 A&Eネットワークスが所有するケーブルテレビネットワーク
*3 邦題:「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」HBO制作のテレビドラマ

What’s one thing that will become a TV standard that doesn’t exist today?

The Ringer’s Simmons:Appleは、Apple TVを組み込んだ独自の素晴らしいテレビを早晩作り始めると思います。まだそうなっていないのが不思議なくらいです。Appleは、テレビ以外のストリーミングのパズルの他のすべてのピースを持っています。

なぜ、SamsungやLGなどがスマートテレビで革新を続けながらも、そのエコシステムからAppleを排除したいのか? それは、Appleがもっと良いテレビを作り、彼らを圧倒することになるからだと、私は確信しています。

Ex-Warner Bros. boss Sarnoff:コマース、ゲーム、ソーシャル・インタラクション、スポーツ、ニュース、エンタテインメントを提供する「メタバース」は必然ですが、それが人々のメディア消費の主要な手段になるには、まだかなり時間がかかると思われます。ストリーミングやその他の直接的なエンタテインメントと並行して、メタバースが進化していくのは興味深いことです。消費者を最も魅了し、楽しませるサービスを提供するものが勝つでしょう。

Ex-CNN boss Zucker:テレビでスポーツを見ながらギャンブルをすることが、より簡単にできるようになる。テレビを経由して、リモコンや声で賭けをすることができるようになる。(ギャンブル)運営会社の協力が必要だが、問題ないだろう。

Starz’s Hirsch:ボーダレスなコンテンツ。人工知能技術(AI)により、コンテンツの字幕や吹き替えが簡単にできるようになる。AIがあれば、第三者が吹き替えをしなくても、母国語でコンテンツを見ることができるようになる。コンテンツの観点から見ると、世界の距離は縮まっていく。

Netflix’s Bajaria:より多くの人が、素晴らしい世界中のコンテンツにオンデマンドでアクセスできるようになる。(特殊な人でなくても)普通の人がこれまで以上に多くのコンテンツにアクセスできるようになるのです。

Entertainment Studios’ Allen:今後、コンテンツにAIが組み込まれ、より直感的に、人々がコンテンツを見るときに、コンテンツを推薦することがはるかに高度になると思います。AIは、コンテンツのタッチポイントを理解し、どうすればより良い、魅力的なコンテンツになるかを理解するのに役立つと思います。

Charter’s Winfrey:ユニファイドサーチ。発見(ディスカバリー)と推薦(レコメンド)のエンジンと音声リモートが組み合わされ、ひとつのプラットフォームの中にいる場合でもシームレスな体験を可能にするのです。これにより、視聴者はライブビデオやストリーミングなど、例えば月ごとに欲しいコンテンツを選ぶことができるようになります。

LionTree’s Bourkoff:スポーツは大きな鍵を握っています。スポーツは、ライブで視聴しなければならないコンテンツの最後の砦であり、異なるアプローチを求めています。貴重なIP*1の所有者であるプロスポーツリーグは、独自に、またはパートナーシップモデルを通じて、広告やスポンサーシップから、ゲームやスポーツベッティングなどの商業や体験に至るまで、他の方法でマネタイズを行うことが増えていくかもしれません。YouTubeの「NFL Sunday Ticket」やApple TVとMLS*2の契約など、すでにこのダイナミズムの序章を私たちは目撃しているのです。

*1 Intellectual Property(知的財産)

*2 Major League Soccer(米国およびカナダのプロサッカーリーグ)

Warner Bros. Discovery’s Finch:今、存在し始めているもので、その行く末に絶対的な魅力を感じているものがあります。それは、視聴者が視聴するコンテンツを、視聴しながら選べるようにする技術です。Netflixの “Kaleidoscope “のようなものです。編集の意思決定をファンに手渡すというのは、とても魅惑的です。ひとつのコンテンツが何度も視聴されるきっかけになるのです。このような試みをしたコンテンツはまだ少ないですが、技術はありますし、コンテンツの制作と視聴の新しい展開としてエキサイティングです。インタラクティブな視聴方法の提供、まだ利用され始めたばかりですが、多くの人がテストしています。

*「カレイドスコープ」はNetflix制作の実験的ドラマ。最終話以外は視聴者が視聴順を選択できる。

NBCUniversal’s Lazarus:テレビ消費の多くは、家庭内の最大かつ最高のスクリーンで行われています。リビングルームの薄型テレビで見ることができるのです。今後3年間で変わっていくと思うのは、人々が自分自身に合わせたバンドルをどれだけ自由にカスタマイズできるようになるか、ということです。ストリーミングアプリをどのように使っていますか?PeacockとNetflixなどを行き来するのはシームレスなユーザー体験ではありませんが、画面上で好きな順番に配置することは可能です。カスタマイズの度合いもそこそこです。それは個々のストリーマーにも言えることです。

私たちは、消費者のために多くのカスタマイズに取り組んでいます。消費者は、そのインタラクティブ性を求めています。スポーツのライブ放送を視聴している場合、自分でリプレイを選んで、ライブ放送にまた戻ることができます。これは、インタラクティブ性の次世代型体験といえるでしょう。

 

Source:cnbc.com「What will TV look like in three years? These industry insiders share their predictions」2023.2.7

 

以上、CNBCの特集記事「3年後のテレビはどうなる?米国の著名業界関係者らが予測する」から前編・後編の2回に分けてのご紹介でした。では、これらの米メディア業界キーマンたちの予測も参考としつつ、「国内テレビ業界の未来」を考えてみるとどうでしょうか。質問項目をまず想定してみました。

  • 5年後、あるいは10年後に地上波テレビは事実上消滅するのか?
  • 3年後の国内での主要なストリーミングサービスとは?
  • ストリーミングサービスの統合や撤退、また新たなサービス形態や、その参入者の可能性は?
  • ストリーミングの中心的な存在として、どこが優位に立つのか?
  • 地上波テレビネットワークは存続するのか?地方局は生き残りのための統廃合や新たな策に出るか?それとも、これまでと変わらないか?
  • リアルタイム配信(放送同時配信)の課題と期待は?「ハード・ソフト分離」の再々燃はあるか?
  • 今は存在しない、テレビの標準や新たに求められるテレビ取引形態・基準とは?

 

みなさんの予測はどうでしょうか。また機会があれば、プログラマティカの予測もご紹介してみたいと思います。

 

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Yoshiteru Umeda | 楳田良輝