リテールメディアを学ぶ
リテールメディア(Retail Media)はデジタル広告の一形態で、小売事業者(Retailers)のeコマースプラットフォームや実店舗内で、ブランド企業(Brands)が自社の製品やサービスをプロモーションすることを可能にします。ターゲティング広告やスポンサードコンテンツを利用し、小売事業者の顧客がサイトを閲覧したり、実際に商品を購入したりする時に表示されます。リテールメディアは比較的新しいコンセプトですが、ブランド企業にはターゲットを絞った広告機会を、小売業事者には新たな収益源を提供できることから、急速に人気が高まっています。
これは、米国のインタラクティブ広告業界団体である「Interactive Advertising Bureau」(以下、IAB)が2023年7月に発行した「リテールメディア・バイヤーズガイド」の冒頭文です。米国から拡がり、欧州、日本国内でも非常に注目をされているリテールメディアですが、ゆえにその進歩も速く、最新情報に追いついていくのは大変です。発祥の背景や歴史、取り組み事例などは、すでに良著がいくつかありますので、そちらを参考にしていただくのが良いでしょう。ただ、ひとえにリテールメディアといっても各国での捉え方や現況が少しずつ異なります。やや初歩的、標準的な視点とはなりますが、米IABのリテールメディア・バイヤーズガイドを参考にして、そのポイントは何かを理解し、今後に役立てたいと考えています。
バイヤーズガイドですから、リテールメディアを「開発する・運営する側」ではなく、「活用する側」の視点で捉えていくことになります。プログラマティカとしては、リテールメディアの「オフサイト領域」に従来の広告宣伝費(宣伝部予算)だけでなく、それを凌駕する規模の販促宣伝費(営業部予算)から多額の費用が注ぎ込まれることで、既存のメディアビジネスへ与える影響などには非常に興味を持っています。加えて、リテールメディアとしての基準化やルール作りの進捗も気になるところです。ただ、全48ページと少々量が多いため、特に重要に思えた冒頭の第1章と、第2章の内容について、ここではご紹介します。
本バイヤーズガイドは、 IAB会員社でなくても、アカウント登録をすれば海外からでも原本を入手することができますので、全文にご興味ある方はIABの公式サイトをご確認ください。IABは2023年9月にMRC*と共同で「リテールメディア測定ガイドライン」もすでに発表しています。
*Media Rating Council(米メディア測定評議会)は、1960年に設立されたメディアの測定や評価、基準などを認定・管理する非営利団体
リテールメディア・バイヤーズガイド目次
リテールメディアとは何か
リテールメディアのプランニング入門
コラボレーションの促進
オーディエンス戦略の策定
リテールメディアのバイイングとクリエイティブ戦略
1.リテールメディアとは何か
リテールメディアの利点
リテールメディアの主な利点の1つは、ターゲットを絞った広告機会を提供できることです。顧客データと分析を活用することで、小売事業者は自社が取り扱っている商品やカテゴリーに興味を持つ顧客に、広告やプロモーションを届けることができます。つまり、ブランド企業はすでに購買意欲のある顧客にリーチすることができ、自社製品の購入意向を高め、コンバージョンへとつなげられます。また、リテールメディアを利用することで、ブランド企業は広告キャンペーンの効果をリアルタイムで測定したり、より高い成果を得るために戦略を最適化したりすることもできます。
小売事業者にとってリテールメディアは新たな収益源となり、eコマースプラットフォームや実店舗の運営コストを吸収することができます。また、個々の顧客の関心に関連したターゲティング広告やスポンサードコンテンツを表示することで、自社の顧客により良いショッピング体験を提供することもできます。
リテールメディアは、デジタル広告のターゲティングや測定機能と、従来の広告が持つ規模やリーチを組み合わせたもので、デジタル広告の「第三の波」と考えられています。デジタル広告の最初の波は、Googleのような検索エンジンに広告を掲載する検索広告*でした。第二の波はソーシャル広告で、Facebookのようなソーシャルメディアのプラットフォームに広告を出稿するものでした。
*デジタル広告の第一波が「検索広告」、第二波が「ソーシャル広告」であるとの見解はIABによるもの
リテールメディアが持つチャンスはとても広く、オンサイト、オフサイトのディスプレイ、ソーシャルコマース、CTV(コネクテッドTV )、そしてインストアなど、さまざまな分野を網羅しています。
- オンサイト・リテールメディア:検索結果ページ、商品ページ、カテゴリーページなど、小売事業者のeコマースプラットフォーム内に広告を表示します。これらの広告は、顧客の検索履歴や購買行動に基づいて高度にターゲティングできるため、コンバージョンにつながりやすくなります。
- オフサイト・ディスプレイ・リテールメディア:サードパーティのウェブサイトやアプリ(Criteo、Googleディスプレイネットワーク、TTD*など)に広告を表示することで、ブランドの認知度を高め、小売事業者のウェブサイトへ誘導します。
*The Trade Desk - ソーシャルコマース・リテールメディア:Instagram、Facebook、Pinterestなどのソーシャルメディアを利用して、商品のプロモーションや販売促進を行います。小売事業者は、ショッピング可能な投稿や広告を作成し、顧客はそこから直接商品を購入できるようにすることができます。
- CTV・リテールメディア:Hulu、Roku、Amazon Fire TVなどのストリーミングTVサービスに広告を表示します。CTVは小売事業者に、従来のケーブルテレビからストリーミングサービスへとシフトしつつある顧客にリーチする機会を提供します。
*特に近年注目が高まっている「FAST」(広告付き無料ストリーミングTV)での、リテールメディアの購買データを利用したターゲティング広告は、今後のテレビ広告の大きな柱となると考えられる - インストア・リテールメディア:音声、デジタルサイネージ、商品ディスプレイ、位置情報、通知機能、インタラクティブキオスク*など、実店舗内で広告や販促コンテンツを表示します。インストア・リテールメディアは、商品の認知度向上、新製品のプロモーション、販売促進に役立ちます。
*小売事業者の実店舗に設置されるインターネット接続された情報端末のこと
リテールメディアの課題
リテールメディア・ネットワーク(以下、RMN)の台頭は、小売事業者とブランド企業の両方に多くの可能性をもたらします。しかし、多くの利点もありますが、RMNの「可能性」を最大限に発揮するには、まだいくつかの課題もあります。これらの課題を克服するためには、それらを特定して、正面から取り組むことが重要です。
- 小売事業者は、顧客データ管理、メディア、アドテクノロジーのそれぞれの知見が要求されるRMNをいかに成功させるか、という課題に直面しています。これらの知見は通常、小売業の本業には存在しないため、小売事業者はRMNを扱う独立した機能を構築しなければなりません。さらに、RMN内の支出を一貫してきめ細かくクローズドループ測定*することで、投資を引き出す可能性が高まります。
*RMN内のクローズドループ(閉じた)環境下で特定の購買層をターゲットとすることで、投資効果のインクリメンタルな増加分などを測定 - ブランド企業は、RMNに対して豊富な選択肢を持っています。したがって、小売事業者がRMNに投資し、インクリメンタルな収益を獲得するためには、明確なバリュー・プロポジション(ブランド企業に提案する価値)を持つことが不可欠です。RMNは「アッパーファネル」のブランド構築と「ローワーファネル」のパフォーマンス・マーケティングの両方を提供し、従来の営業部門とマーケティング部門の役割を曖昧にします。ブランド企業がRMN内で費やす金額を増やそうとしていることの影響は、小売事業者が以前よりも多くの新しいSKUを受け入れ、オンラインとインストアの両方で競争をさらに激化させる状況を作り出すことになります。
- エージェンシーは、クライアントを戦略的に導き、RMNエコシステム全体で計画・実行できる能力を持ったチームを構築するという課題に直面しています。そのためには、経験豊富な人材を獲得し、適切なモデルとワークフローを構築する必要があります。また、リテールメディアの人材獲得には大きな競争があり、各エージェンシー間でRMNの知識に大きな差があることも少なくありません。エージェンシーは、クライアントが無駄なく最適なメディア支出を行えるように支援することがますます重要になっています。
- 消費者は、RMNを使ったより適切なターゲティング広告によって、より適切なショッピング体験が得られます。 しかし、RMNの収益化の圧力と、消費者が有益だと感じるものとのバランスがうまく調整できない場合、広告過多によってショッピング体験が低下する潜在的なリスクもあります。そのため、検索やディスプレイで表示されるものに対する消費者の信頼を維持するには、ただ収益性の高いものだけを表示するのではなく、消費者にとって最良の選択肢を提示することが不可欠です。
全体として、RMNはここ数十年で最大の広告シフトの1つであるため、大きな課題と障害も予想されます。それらを克服するためには、企業内、ブランド企業と小売事業者の間、そして業界全体のステークホルダー間の協力が必要です。これらの課題を特定し、対処することで、RMNは成長し、繁栄し続けることができ、関係するすべてのステークホルダーに利益をもたらします。
プライバシーに関する現状
EUの一般データ保護規則(GDPR)やカリフォルニア州プライバシー権法(CPRA)などのデータプライバシー規制の変更に加え、Appleの広告主向け識別子(IDFA)のようなプラットフォームの変更により、ブランド企業がターゲティング広告のために顧客データにアクセスし、利用することが難しくなっています。
このため、ブランド企業がファーストパーティデータを活用し、クローズドループ環境で顧客にリーチできるリテールメディアなどの新しいソリューションが必要とされています。リテールメディアは、ブランド企業が顧客の購買行動や嗜好に基づいてターゲティングする方法を提供し、さらにキャンペーンの効果を追跡するためのクローズドループ測定という利点をもたらします。これにより、特にデータプライバシーと測定がますます困難になっている状況において、信頼性が高く効果的な広告チャネルとしてのリテールメディアの価値が浮き彫りになりました。
しかし、ファーストパーティデータへの依存の高まりには、消費者のプライバシーを守る責任が伴うことに注意することが重要です。ブランド企業や小売事業者は、収集したデータが倫理的かつ透明性をもって使用され、消費者が自分のデータとその使用方法を管理できるようにしなければなりません。これを怠ると、消費者の信頼を失い、法的な影響を受け、ブランドの評判が損なわれる可能性があります。消費者のプライバシーを守ることは、消費者を保護するだけでなく、リテールメディアの長期的な成功と成長をサポートします。
2.リテールメディアのプランニング入門
パートナーの特性を理解する
コマースメディア時代におけるメディア投資戦略の立案と実行には、小売事業者とブランド企業が緊密に連携し、ビジネス目標とターゲットオーディエンスの整合性を確保する必要があります。経営幹部層は、売上成長、収益性、市場シェア、インストアでの視認性、新製品発売の成功率などのビジネス目標が競争戦略を決定します。その結果、これらのビジネス目標はメディア戦略とプランニングに直接影響を与えます。
企業レベルやブランドレベルの目標に沿ったメディアへの投資戦略を策定するには、ターゲットとなるオーディエンス、そのオーディエンスがどのようにメディアに接しているか、そして最終的にはどのように自社の商品やサービスを消費しているかを明確に理解する必要があります。また、多様なメディアの選択肢が、顧客ライフサイクルの異なる時点の行動にどのような影響を与えるか、消費者がさまざまなメッセージングやオファー、パーソナライゼーションにどのように反応するかを考慮することも不可欠です。
さらに、より多くの小売事業者が顧客データを取得し、有効化する能力を強化するにつれて、マーケティング担当者はパーソナライゼーション戦略を管理する能力を高め、フルファネルのパフォーマンス測定と検証により直接的な利益を得られるようになっています。その結果、プランニングのプロセスでは、広告主と各リテールパートナーとの総合的な関係や、メディアの最新状況におけるコマースメディアの影響力を包括的に理解する必要が出てきました。
リテールメディアを全体的なブランドプランに組み入れることは、実行段階で戦術的なオペレーションと、戦術をも超えたトラフィックの促進などのマーケティング・タッチポイントの両方にまたがるため重要です。目標となるのは「チーム間での情報共有」から、「フルファネルプランニングの実行」に移行することです。
全てをパフォーマンスメディアにする
RMNは、パフォーマンスを最適化し、ビジネス目標を達成するために活用できるさまざまなソリューションを提供するように進化してきました。これらのソリューションを効果的に活用するには、トップダウンのアプローチをとり、望ましい事業成果に基づいて小売事業者と予算に優先順位をつけることが重要です。そうすることで、ブランド企業は最大のインパクトと成果をもたらす方法でリソースを最適配分(アロケーション)することができます。
進化したRMNの主な利点の1つは、ファーストパーティデータを使用してカスタムオーディエンスを作成できることです。これにより、ブランド企業は、適切なタッチポイントで、適切なオーディエンスに、適切なメッセージを発信することができ、キャンペーンの効果を高めることができます。小売事業者のファーストパーティデータにアクセスすることで、ブランド企業は顧客の行動や嗜好に関する貴重なインサイトを得ることができ、ターゲティングやメッセージ戦略に役立てることができます。
また、RMNはコンバージョンにのみフォーカスしているという認識を払拭することが重要です。ブランド企業は、小売事業者とのより強固なパートナーシップの構築、営業や顧客開発の成功要因、プログラマティック・ターゲティングのためのファーストパーティデータへのアクセスにおいて、こうしたネットワークの価値を再認識すべきです。さらに、インサイトおよびショッパー担当は、小売事業者ごとの顧客をより深く理解する能力から利益を得ることができ、測定および財務担当は、多くのRMNが提供するクローズドループのレポート機能を評価することができます。
パフォーマンスを最適化し、ビジネス目標を達成するためには、アカウント内でもアカウント間でも予算配分に流動性を持たせることが重要です。ブランド企業は、基準に基づいて、パフォーマンスの可能性が最も高いところにリソースを積極的に配分すべきです。さらに、ブランド認知度、パフォーマンス、ブランドロイヤリティなど、カスタマージャーニーの様々な部分とデジタルメディアのKPIと連携させるもう1つの側面を検討することもできます。
消費者のファネルに関するこの新しい見解では、RMNは、消費者のショッピング行動、探索、評価モードをサポートし、ブランディング、検討、最終的な意思決定を提供し、カスタマージャーニーのニーズに正面から応えます。リテールメディアのプランニングに全体的なアプローチを取り、事業成果型を優先することで、ブランド企業は、売上成長、世帯への浸透、新規顧客の獲得、貢献利益率/収益性、カテゴリー/市場シェアの拡大など、より高いレベルの事業目標を達成することができます。このアプローチにより、ブランド企業は、顧客がいるジャーニーへリーチし、エンゲージメントを高め、最終的にKPIや目標に対するパフォーマンスを向上させることができます。
より多くのサプライヤーがブランドのフルファネルプランニングに移行する中、望ましい事業成果型からスタートし、小売事業者の優先順位付け、予算編成、個々のKPIに対する戦術的プランニングに移行することがこれまで以上に重要になっています。ブランド企業は、ビジネスのニーズをサポートする無数の方法でメディアを「パフォーマンス」させ、顧客がそのジャーニーのどこにいるのかを知ることができます。
クローズドループ測定
リテールメディアは、広告主が広告出稿と売上を結びつけることができる「クローズドループ測定」を独自に提供します。ファーストパーティデータを活用し、インストアやオンラインを含むすべてのチャネルで販売データを追跡することで、RMNは、カスタマージャーニーと広告効果のより完全な情報を広告主に提供することができます。
例えば、ある美容小売事業者では、クローズドループ測定を使用して、検索連動型広告、eメールキャンペーン、サイトへの掲載がスキンケア製品の新商品の売上に与える影響を分析することができます。SKUレベルでの売上を14日間の計測期間を通じて、どのチャネルが最もコンバージョンを促進しているかを判断し、それに応じてマーケティング予算を配分することができます。
RMNでは、ラストタッチ、マルチタッチ、アシストセールスなど、さまざまなアトリビューションモデルを使用して、カスタマージャーニーに沿ったさまざまなタッチポイントに評価を割り当てます。さらに、小売事業者はインストアの売上や来店者数のデータにアクセスできることが多く、オンライン広告がインストアの売上に与える影響を追跡することができます。
リテールメディアにおけるクローズドループ測定の価値のもう1つの例は、アシストセールスの評価です。この手法により、消費者ジャーニーをより全体的に見ることができ、広告主は、特定のRMNのアトリビューションルールに関係なく、どのタイプの広告が売上促進に貢献しているかをよりよく理解することができます。
リテールメディアは、マーケティング費用の効果を最大化しようとする広告主にとって、強固なクローズドループ測定ソリューションを提供します。ファーストパーティデータ、アトリビューションモデル、ターゲティング広告を活用することで、RMNは広告主にカスタマージャーニーとしての完全な情報を提供し、それに応じてマーケティング投資を最適化する成功要因を提供することができます。
オンサイト
リテールメディアとは、小売事業者のウェブサイトやアプリに掲載される広告のことです。その目的は、顧客とつながり、ショッピングを楽しんでもらっている間に、ブランドともつながるようにすることです。ブランド企業にとっては、商品群やその使い方を紹介し、顧客のライフスタイルやニーズにどのようにフィットするかを示す機会となります。
オンサイト広告は、エンデミックとノンエンデミックの両方の広告主で構成されます。小売事業者がサイト内広告を導入する主な利点の1つは、顧客を自社のウェブサイトに留めることができることです。したがって、通常はこれらの広告はサイトやアプリ内に誘導されますが(エンデミック)、小売事業者の判断や条件によって、外部へリンクできる場合もあります(ノンエンデミック)。
*エンデミックとノンエンデミック:上記のような例以外にも、プロ野球中継に広告を出すスポーツ用品メーカーはエンデミックであり、自動車メーカーや不動産業などはノンエンデミックに分類される
リテールメディアのサイト内で使用できる広告フォーマットには、以下のようなものがあります。
- スポンサープロダクト:検索結果や商品ページの目立つところに表示される商品リスト
- スポンサーブランド: ブランドロゴを掲載し、複数の商品を紹介するバナー広告で、多くの場合検索結果の上位に表示
- ディスプレイ広告: ホームページやカテゴリーページなど、ウェブサイトやアプリの様々なページに表示されるバナー広告
- 動画広告: ウェブサイトやアプリの動画の前、途中、または後に再生される短い動画広告
リテールメディアの「オンサイト」でオーディエンス戦略とメディアプランニングに取り組む際、ブランド企業はターゲットオーディエンス、購買意向、カスタマージャーニーの段階を考慮する必要があります。eコマースプラットフォームにおける特定の顧客の行動や嗜好を理解し、それに応じて広告フォーマットやメッセージングを調整することが重要です。
例えば、ランニングシューズを販売するブランド企業は、eコマースプラットフォームでワークアウトウェアを購入したことがある人をターゲットにするかもしれません。スポンサープロダクトやディスプレイ広告を使用し、通気性や耐久性などシューズの特徴を強調することができます。
オフサイト
オンサイトのリテールメディア(オフサイト・メディア)は、消費
オンサイトでは、利用可能な広告スペースや顧客のページ来訪数に
*1顧客に対して、特定のカテゴリー商品購入金額(数)のうち、
したがって、すべての成果をオンサイトのおかげと考えるのは間違
オフサイト・メディアには、ウェブサイト、アプリ、ディスプレイ
結論として、リテールメディアの力は、ターゲティングとクローズ
インストア
インストア・リテールメディアとは、商品ディスプレイ、サイネー
インストア・リテールメディアの利点には、次のようなものがあり
ターゲティング広告: 広告主は特定のターゲット属性を利用できる
高い視認性: 視認性が高く、広告対象商品の近くにあるため、その商品の購入意
売上の増加:通常は目に気づかれにくい商品を宣伝したり、顧客に
データに基づくインサイト: どの商品が最も人気があるか、どのメッセージが最も響くかなど、
整理すると、インストア・リテールメディアのビジネスチャンスは
インストア:小売事業者の実店舗内や入口に設置されるあらゆるデ
オフライン(インストア): デジタルでは提供されない棚や店内で展開される多くの手法。店舗
デジタル(インストア): インストア・デジタルメディア、オーディオ、ディスプレイ広告は
- 複数の広告をローテーションさせ店舗内で1日中デジタル音声を流
せる - 入店時や特定の通路やディスプレイへ移動した時にプッシュ通知を
行える - 実店舗内のスクリーン(店舗入口、クーラー表面、スマートカート
、棚札、メニューボード、インタラクティブキオスク、薬局、 セルフレジなど)では、ブランドメッセージや関連プロモーション を強調するビジュアルや動画広告によって情報を提供 - 店舗内での特定のアクションに対してアプリでインセンティブ付与
- 一部の小売事業者はインストア・リテールメディアをパッケージ化
している
デジタル・アウト・オブ・ホーム(DOOH):顧客の個人デバイスではない、例えば、オンライン購入の店頭受け
オン・ザ・ゴー・ビデオ: 小売事業者の至近距離で提供される映像、音声、動画を指します。
エンデミックとノンエンデミックのスペクトラム
リテールメディアは、特定の小売事業者で自社の製品やサービスを
しかし、リテールメディアは、小売事業者が取り揃えていないブラ
このようなブランド企業がリテールメディアに目を向ける時、その
顧客には関連するが、小売事業者には関連しないノンエンデミック
*ビロー・ザ・フォールド(Below the fold)は、スクロールして見える画面。逆にアバブ・ザ・フォ
小売事業者以外のメディアネットワークにとって、これらはパフォ
リテールメディアによるオンラインとオフラインの体験の融合
広告文脈におけるブランド、小売事業者、顧客の関係性
リテールメディアは、現代の広告に欠かせない要素であり、オンラインとオフラインの両方で顧客にシームレスでまとまりのあるショッピング体験を提供することがますます重要になっています。オフサイトとオンサイトのリテールメディア戦術の相互作用は、成功の原動力となる「フライホイール」(力を蓄え弾みをつける働き)を生み出す上で非常に重要です。データとテクノロジーを活用することで、リテールメディアは小売事業者のサイトへの良質なトラフィックを促進し、ページビューと収益を増加させ、最終的には市場での地位を強化するための戦術に資金を提供することができます。
しかし、リテールメディアのメディアプランニングは、ソーシャルメディアやプログラマティック広告など、メディア支出を実行するために使用されるチャネルに基づいてサイロ化されていることが多くなっています。実際には、オフサイトや店舗内のチャネルはリテールメディア戦略全体の一部であり、1つまたは複数の小売事業者の文脈の中で目標を達成することに基づいて計画されるべきです。したがって、リテールメディアへの投資を計画する際には、特定のチャネルに焦点を当てるのではなく、特定の小売事業者の文脈におけるコンバージョン、検討、認知といったリテールメディアの目的に焦点を当てることが不可欠といえます。
RMNは、検索、ソーシャル、動画、CTV、プログラマティック広告など、複数のチャネルにわたるメディア活性化の戦術をバイヤー側に提供できます。これらのチャネルは、それぞれ異なる目的を達成するために使用することができます。RMNで最大限のパフォーマンスを引き出すには、メディアプランニングを具体的な目標に沿わせる必要があり、ブランドのマーケティング費では特定チャネルをどのようにプランニングするかになどの制限がなされるべきではありません。
インストアのデジタル戦術は、メディアプランナーにとってもう一つの活性化要因であり、実店舗での購買時点における店頭でのシェア・オブ・ボイスを高めるために活用されるべきです。このような戦略を実現するためには、プランニングと予算編成のプロセスを流動的にすることが重要で、それは長期的にはリテールメディアへの投資を最大化することにつながります。
結論として、統一されたリテールメディア戦略の強さは、データとテクノロジーを活用し、顧客にシームレスなショッピング体験を提供することにあります。サイロを取り払い、目的に集中し、複数のチャネルを活用することで、小売事業者はトラフィック、収益、市場での地位を向上させることができます。
3章「コラボレーションの促進」以下にもご興味ある場合は、プログラマティカにお問合せください。
*原文からの翻訳はプログラマティカにて行い、当社としての解釈および注釈などを加えてご紹介しています。
Source; IAB「Retail Media Buyer’s Guide」
Programmatica Inc.
Yoshiteru Umeda | 楳田良輝