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続・ラストBLOG〜国内アドレサブルとローカル局の今後

続・ラストBLOG〜国内アドレサブルとローカル局の今後

前回、ラストBLOGを書きました。その舌の根も乾かぬうちに「続編」です。笑ってご了承を。

CXさんが、2025年6月に発表された「アドレッサブルTV広告技術実証」の成功、先日実際にデモを拝見して感動しました。これは “スゴい” 技術だなと素直に思いました。そして、この技術が活かせる「テレビCMの未来」を一緒に考えてみたいという気持ちにもなりました。当然、商用化にはまだ時間もかかるのでしょうけれども、それと同時に「じゃあ、どうする?」「今、やれることは?」ともあらためて感じました。特に、ローカル局はどうするんだろうか・・。
https://www.fujitv.co.jp/company/news/250623.html

なんとなく思ったことをメモ書きしたので、それを貼っておきます。

 

国内アドレサブルが実現

放送×通信の三方式比較とローカル局の今後を考える

 

国内アドレサブルとローカル局の今後

 

ブロードとアドレサブルの違い

国内アドレサブルとローカル局の今後

 

2種類のアドレサブル

  • DVB-TA:放送を基盤に通信で広告差し替えを行う運用仕様
  • ATSC 3.0:放送そのものをIP化し、世帯単位のアドレサブル配信を実現
  • CX方式:現行放送に通信を連携させ、受信機ごとにCMを出し分ける仕組み

 

アドレサブル①(海外)

<世帯の時>

  • DVB-TA:放送インフラは維持、広告のみアップデート
  • ATSC 3.0:技術的には進んでいるが設備刷新が必要

<個人の時>

  • CTVはすでに可能、STBなどは技術的には一部可能(プライシー問題あり)

 

アドレサブル②(国内)

国内アドレサブルとローカル局の今後

海外のアドレサブル①と並べた際1

  • ハイブリッドキャストを使った独自方式 でアドレサブル配信を実現(スゴい!)
  • ただし、現状は「素材出し分け」にとどまる
  • つまり「CM枠まとめて」でないと売れない
  • ただ、現状の出し分けの素(エリア)をデモグラなどの別なデータに置き換えても「出し分け」は技術的に可能であろう
  • 問題は残ったインプを誰に売るか?それがないと、単純に単価上昇(捨てる部分多い)
  • 例:広告主内や別企業(酒と化粧品など)で差し替え等
    (しかし、、次頁へ)

 

海外のアドレサブル①と並べた際2

  • それだけでは広告単価は今よりも上がらない!
  • また、デモグラなどにする場合は「全数データ」が必要になる(オプトインで可能か?)
  • そうなると、エリアなどが現状もっとも現実的で、可能性も高い(郵便番号は保有)
  • ComcastのPMAを例にすれば、NielsenのDMA(210)よりも細かな分類(60エリアを500)というように、新たに マーケティング領域で使えるエリアに分けることは良策 といえる
  • ただし、国内32エリアで現状より細分化してマネタイズできそうなのは東阪(+名)くらい
    https://comcastadvertising.com/insights/blog/ads-that-hit-home/

海外のアドレサブル①と並べた際3

  • 逆にローカルは、32区分は広告主のマーケティングエリアとしては細かすぎ。ナショナルクライアント用に7〜9程度に再区分すべき(これは企業の支社・営業体制に合わせられるとベスト)
  • 残すは、ローカル局の地元広告主のためのアドレサブルである
  • 必要なのは「広告費の1回グロスを小さく」かつ「手売りを止める」ことである。つまり、プログラマティック取引である
  • ただし、RTBは不要 である(本数が少ない)
    *スポットCMは週5,000本程度(ローカル枠もっと少ない)

 

海外のアドレサブル①と並べた際4

  • ローカル局もオンラインセールスは、すでに何らかの形で行っているとは推測する
  • そこで重要なのは「大量リーチを格安に」という考えを改め、「適量を効率的に」の実現
  • そのためには、現在の個人ALL(あるいはまだ世帯のまま)中心のGRPセールス、もしくは本数単位のセールスからの脱却である
  • 単にインプレッション取引にするだけでは、ターゲット比率が10%であれば、CPMを10倍で売る必要 がある
  • そのCPMでCTV広告と競争できるのか?

海外のアドレサブル①と並べた際5

  • ただ、一部エリアはCPMが比較的低廉のため競争できる可能あり(対ナショクラにのみ)
  • 肝は「対世帯」「対ヒト」の効率を示す こと
  • 理由は、CXの新しい技術などが商用化できるのは、まだもう少し先の話になるだろう
  • 仮に商用化されたとしても、ローカル局が導入できるのはいつか?設備投資できるのか?
  • もっと早く簡便にできることの検討が必要
  • それがおそらく「総量評価」で「インプレッション売り」ということになるだろう
    *現状の作案作業に取り込める仕組み

 

海外のアドレサブル①と並べた際6

  • どのインプが高く売れるか?を把握すれば、「番組制作」にも新たなアイデア が生まれる
  • 東京基準に合わせる必要はない
  • 考えてみて欲しい。例えば 折り込みチラシ は配布料だけで1枚5〜6円(制作・印刷費別)である。CPMで見れば5,000円 にもなる
  • 100万円予算なら「配布20万枚」(世帯)
  • テレビCMは仮にCPM400円なら250万imps
  • 視聴人口200万人エリアで125GRPに相当。%コストでは8,000円。仮にリーチ50%でも100万人となる

海外のアドレサブル①と並べた際7

  • そこで世帯で見る。世帯2.0人で100万世帯。同価格で250GRP出せる。CPM200円で500万imps。リーチ70%で70万世帯到達はFQ約5回
  • 個人視聴率は貴重な指標であるが、必ずしもそれだけで評価、セールスする必要はない
  • 評価としてはダブルスタンダード があっても構わないのでは?ただし、それだけでは不十分なので、総量評価でインプレッション取引 してやる必要がある
  • オンターゲット30%程度でも増収は可能
    *試算は割愛するが2~3割の増収は十分見込める

 

国内アドレサブルとローカル局の今後

 

 

以上です。「続・続編」があるのかどうかは、未定です。

 

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